冬のはちみつ
そらの珊瑚

じゃりじゃりになっている
蜜のあわれを
さじで救い取る

瓶の中で
結晶になった
白い彼女はきれぎれになり

焼かれたパンの熱でそれは
ふたたび脆弱に溶かされてゆく
朝の甘い官能

熊は射殺されたそうだ
人間のテリトリーを侵しただけ
ほんの少し間違ったばかりに

もうそろそろ
ホシムクドリがやってくるだろう
燕らは無事に海を渡っただろうか

戻るということを繰り返す
まるで波浪のような
命のいとなみ

葉を失った枝々はさざめき合っている
それらは旅をする全ての者の
束の間の止まり木になる



自由詩 冬のはちみつ Copyright そらの珊瑚 2015-10-15 13:37:47縦
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