諸君!
あおば

                 151015
古くさいことばだねぇ
明治生まれの親父も使ったこと有るかしら

いつまでも候文を書いていた父も諸君!と叫んだことは有るまい
直立不動で自分は〇〇〇〇〇であります!(〇の部分は忘れた)と叫ぶように答えた父の姿に、10年以上前の徴兵時代の習慣が現れたのであろう、人前での挨拶の苦手な父らしいと少し同情したのを覚えている。父に質問したのは、身なりの立派な紳士であったから、父は上官に出くわしたように条件反射的に軍隊言葉が出たのであろう。戦後生まれの私が、リアルに昔の兵卒の声を聞けたのだからある意味運が良かったのだと思っている。
父は生涯、諸君!とは叫ばなかっただろう。私も聞いたことは無い。諸君と叫ぶにもそれなりの資格が有りそうで、その資格に満たない者たちには生涯縁のない言葉であると、今書きながらしみじみと痛感しているところである。サラリーマンを一兵卒で終わった私には、いつの時代に生まれたとしても縁が無い言葉だということも分かる。
これは格差と差別を内包した呼びかけの言葉だということも分かった。
だから諸君!と叫ぶのは、芝居の演技だけにしておいたほうが良さそうに思う。
君が、差別主義者ならば好きなだけ本気で叫んで欲しい。
諸君!諸君!諸君!諸君!諸君!諸君!諸君!諸君!諸君!諸君!諸君!諸君!
君主!と間違えないように気をつけてくれたまえ!
君が、進んで臣下になりたいならば別だが・・。


初出「即興ゴルコンダ(仮)」
  http://golconda.bbs.fc2.com/
  タイトルは、るるりらさん。







自由詩 諸君! Copyright あおば 2015-10-15 00:27:23
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