名づく
小原あき

親からもらった名を
30数年飼っているが
これがなかなかなつかない
気づくとどこかに行ってしまうので
私を呼ぶとき
みんな仮の名で呼ぶ
仮の名は20個くらいあって
ずっと傍にいるもの
もうとっくに姿を眩ましたもの
様々で
ずっと傍にいるものが
まるで私の名みたいな顔をしてる
それはそれで可愛く
ついつい私もそちらに気が向く
たまに親からもらった名が
私の元に帰ってくるが
そのときは
みんな一様に
はっとした顔をする
そんな様子を見て
親からもらった名は
ふんと出ていく
それを見て
ああまたいなくなったと
少し寂しくなる

何故、飼い慣らせないのだろうか
なつく日は来るのだろうか
傍の仮の名を撫でながら考えてみて
眠くなる


自由詩 名づく Copyright 小原あき 2015-09-26 16:25:10
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