ちょうど動物園の夜空で
りゅうのあくび

夜空でフラミンゴが歌いながら
右足を差し出すとき
月影は大地をそっと染めながら
ガラパゴスウミガメは
まるで天球を月が
動く速さでゆったり
未来へと歩みを確かめる

  *

夢のなかではフタコブラクダが
砂漠を越えオアシスを目指しながら
地球が大好きなカメレオンは
夜空の色彩を探しながら
静かに眠りについている

  *

サバンナに棲んでいた
アフリカゾウの親子は
明日の水浴びの
予定を楽しみにして
キリンは首を長くして
恋の返事を待っている

  *

絶滅した恐竜たちについて
記された解説の看板も
夜空の欠片と一緒になっていて
何を書いているのかは
もう分からずに消え失せて
星々の灯りももう届かない

  *

夜の動物園の新しい檻は
まるで人類同士の諍いも
しきる鉄格子のようにして
従えられた動物たちは
すでに一日の仕事を終えて
家畜としてではなく
昔の暮らしを思い出していて

  *

人類は夢の中でのみ
自由と云う檻のなかで
動物園で飼育をされる
動物たちの仲間に入れてもらう
どれほど財産があるかを別にして
どんな職業か顔立ちか性別かを別にして
どんな宗教か信条か言語かをも別にして
地球にある夜空は
僕ら生命にとって
たったひとつだ



自由詩 ちょうど動物園の夜空で Copyright りゅうのあくび 2015-09-24 22:33:48
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