ボーイが八匹
夏美かをる

お母さん、私ね、学校にin loveなboyが八匹もいるんだよ

金魚に餌をあげていたら 
次女が後ろで不意に大きな声を出すものだから
目の前の水槽に
突然金魚が九匹飛び込んできて、
そのうちに男の子の顔をした人面魚八匹が
次女の顔をしたポニョみたいな金魚を
一斉に追いかけ始めたから、あら大変!
いやいや、よく見たら
ポニョが八匹を追いかけ回しているではないか!!!
(次女は実際にポニョ似なのである)

遥か愛おしい国の美しい言葉と
いつまでも私には異国でしかないこの地の言葉を
少しのためらいもなくごちゃまぜにして
お前は 私の知り得ないお前の世界を
お前独自の言葉遣いで
あまりにも豊かに表現するものだから
私の空想癖はくすぐられてばかり

この国の複雑な社会の中で
未だビクビク生きている私を尻目に
八匹のボーイを追い回しているお前の逞しさよ
混沌とした私の未来へ真っ直ぐに伸びていく
一筋の希望があるとしたら
それはお前のその生きる力だろう
古びた価値観やしみったれた郷愁の念などは
いずれ私と共に滅び去る運命
そう、それでいいのだ
お前を留め、縛るものなど
いかようにもあってはならないのだから

不思議な言葉を話すポニョはアメリカ生まれのアメリカの子
いいえ、どこの国の子でもない
♬ポ〜ニョ、ポニョ、ポニョ 地球の子
 青い星へと 生まれてきた♬
いつまで経ってもうまく泳げない母など置き去りにして
果てしなく広い大海をスイスイ自由に泳いで行け
八匹のハンサムで素敵なボーイ達と共に



*『崖の上のポニョ』の主題歌を拝借しました。


自由詩 ボーイが八匹 Copyright 夏美かをる 2015-08-27 16:31:13縦
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