悪魔の証明
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まだ生きている。しかし今年に入り、春辺りからどうも頭がおかしい。
朝が来て、気づくと夜になっている。
ルーチンワークな仕事だ。つまり、いつもの事をしている。
何時ごろ自分が何をしていたのか、何か失敗を犯さない限り記憶は薄れるものだろうが。
或いはいつの間にか死んでしまうのかもしれない。

最近考えている事を、いつの間にか死んでしまう前に書く。
テレビには映らない、ネットでも取り上げられることも無い、僕もあなたも知らない、
一握りが知りうるが、口に出すのは憚れる、権力者というものが居たとする。
尋ねれば富とは何だ?と問い返し、
僕とあなたを見て、「これは何だ?」と尋ねるもの。だろうか。

ひょっとして、こいつは信じているのではないか?
あらゆる英知を結集させ、ついに科学的に実証したと。
神はいない、あの世など無い、救いなんてありはしない、と。
この結果を聞いて満足し、実証に携わった人達を皆殺しにしては
「これを知るは唯一ひとり、何も恐れることなど無い」などと、信じているのではないか?

じゃなきゃ、こんなこと、出来っこないでしょう。


散文(批評随筆小説等) 悪魔の証明 Copyright id=5239 2015-08-19 23:41:08
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