フリマの夏
梅昆布茶

フリーマーケットにはまさかフリーダムは売ってはいないが
団地の夏祭りのフリマに無職の37歳
嫁に食わしてもらっている松岡君と出店することにした

家に眠っている書籍が主体で
売り上げの半分は日テレの24時間TVのチャリティに寄付する
のこりは松岡家の生活費だ

ひとの生活やこころには基本的に関わることはできない
そんなことはわかっているつもりの阿呆だが
それでもひとが好きでいきてきたきがする

いつも吉田拓郎の祭りのあとのさびしさを想う
わくわくする夏はくっきりと影を意識させる季節でもある

相撲と野球が大好きででもおっちょこちょいなドライバー仲間の大塚さん
長島引退の読売特別号を贈ったけれども
落語が好きな小柄なしばらくあるいはもう合えない友人
そんな移ろいを秘めて夏本番です

大好きなあの娘はとおい夏のそらにいます

紫式部はたぶんいまほど暑くはないだろう宮廷のかたすみで
源氏物語を真夏も執筆していたものだろうか
もしか肌脱ぎでちょっと扇情的な姿態ならばとてもいいとおもう

そんなこんな妄想もフリマで売りつくす
いつか新鮮でやさしいあなたにであえるように
コマーシャルとは無縁なあたらしい取引を

朝の露をわすれないひとは
いつもとてもぼくのあさのサラダにむいているのかもしれない







自由詩 フリマの夏 Copyright 梅昆布茶 2015-07-24 16:17:27
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