遺あるいは
梅昆布茶

遺蹟

奈良の友人の結婚式に列席したついでに
飛鳥の遺跡を畏友のK士と巡る

石舞台
酒船石
猿石
高松塚古墳

でも駅前で立ち寄ったうどん屋の
出汁がしっかりきいて品よくかるく醤油の効いた
透き通った一杯に参ってしまった

北の人間はやたらしょっぱくて
かみさんの実家に寄ると
秋田は男鹿出身の義母のみそ汁に
けっこう抵抗があったことをおもう

結婚した奈良の友人がいうには
東京に来てびっくりしたのは
うどんのつゆが真っ黒なことらしい

僕も函館生まれでほんとうは
真っ黒くろすけなのだが

おそらくはとじこめられる冬を
のりこえるために北の人々が醸成した
貯蔵のための食文化なのだろう

遺構

めったに散歩もしないが
毎日の労働が筋トレなのでまあいいか

それでもたまにお天気に元気をもらった日には
大好きな荒川のあたりを散策する

釣りもいいが自分で食すのでもないかぎり
あまりさかなには傷をつけたくないから

石戸城址
戦国時代に
武田信玄が
攻めあぐねたという古跡だが

話はとつぜん
変わるがうちの事務員さんがいい
バツだが紛れも無くかわいいおとなの女の子

遺構とはかんけいなくなってきたので
ここで斬るが

ハッピーバースデイ
だれも
楽しみにしていないような
親父ギャグを君に


椅子

30数年使ってきた船橋で買ったIKEAの折りたたみ椅子が。
壊れたのだがそれとおふくろが亡くなるのとどっちが先立ったか判然としない

もちろんおふくろとはその倍ぐらい生活してきた
三回忌をむかえてあらためてそのぶんも生きようとおもう
余生なんてないいきているかぎり余りってないんじゃないかな

異端

20代のころコリンウイルソンというアイルランドの作家思想家の本なぞ読んでいた
「発端への旅」という自伝がすきで彼のベストセラーである「アウトサイダー」
がぼくの書架にあったこる神経症だったぼくはカウンセリングをうけた

大学のかたすみの小部屋でそのひとは僕も知っている
森田臨床理学を
たずさえた
やさしい先生がいうには
まったくあなたはなんともないので普通にいきてゆきなさい

えー。。
だってさ
普通の定義に迷っているのですがねえー

異端てどのへんだ
だって新宿2丁目にゆけば
素敵な男子が腕くんであるいて

ぼくの大好きかもしれないひとは
バイででもとても素敵なひとで
鋭い詩人でディーヴァなので
たぶんシンディローパーなのだろう











自由詩 遺あるいは Copyright 梅昆布茶 2015-07-18 12:55:24
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