【 蚊を殺す 】
泡沫恋歌

パソコンに向って
キーボードを打っていたら
ブ~~~ン
という音が聴こえてきた
蚊か?
気づいた時にはもう遅い
手と足と三ヶ所 刺された後だった
痒い 痒いと掻きむしりながら
蚊の気配を探っていると

ブ~~~ン
耳の側で聴こえた
パシッ!
両手で力一杯 叩き潰す
手の中には私の血を吸った蚊が
ペッチャンコになっていた
ざまあみろ!
一度か二度で止めて置けばいいものを
何度もくるから殺されるんだ

人間の血を吸うのは牝の蚊だけ
産卵するために栄養ドリンクのつもりか
私の身体に血液がたっぷりある
小さな蚊が何滴吸っても
どうってこともないが
あの刺した後の痒みだけは
勘弁してほしい
タダで血を吸って 置き土産があれか?
なんて恩知らずな奴だ!

一匹の小さな昆虫を殺したために
人類の未来が変わってしまう
パラレルワールドの話がある
私は蚊を殺し 詩に書いたから
記録として残るし それを読んだ人は
「くだらない」という感想を残すだろう
一匹の蚊を殺したことで
今、何かが変わろうとしているかもしれない

未来の私も そしてあなたにも――



  
                            2015/07/08


自由詩 【 蚊を殺す 】 Copyright 泡沫恋歌 2015-07-08 12:03:22
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