How you doing!?
クローバー

星新一をポケットに、宇宙に出た
窒素酸素二酸化炭素アルゴン
石油が無くなった地球は温暖化し水を奪い合う戦争が起きた
海が陸地を浸食し人類は指の間の皮膚がヒレのようになりつつある
空気中の二酸化炭素濃度が上がったため酸性雨が降り
文明の半分は海の下、半分は溶けかけのアイス
人口は一時増えすぎて、食糧問題の解決策として減少傾向にある
ブドウとジベレリンの関係
人類はもう増えない
そして
それでも挨拶をする

「How you doing!?」




と、ここまで書いて、首を回す
「説明すると人類は生命の方向性である生殖し増える
 という強力な枷を科学で取り除くことに成功した
 そんな世界で、それでも、あいさつを交わし社会性を保つ、というところに
 人としての尊さを見出そう、という、まぁそんな内容なわけ」
 「でもさ、ようは同性愛者がそれに近いと思うんだけれど」
「うーん、書きたいのは男女間での、なんだけれど
 要は、プログラムが無くとも、人は手を取り合うことができるのか
 という、超越した人たちの話」
 「え、後期高齢者たちの話じゃなくて?」
「じゃなくて、僕と君の話」
 「は、種無し?」
「そうじゃないけれど、そうだとしても」
 「そんな愛は嫌だなぁ」
「そう?というか、愛の話だったっけ?あいさつの話だよ」
 「元気?」
「君は元気そうだね」
 「決めつけよくない、元気でない、空元気かもしれないじゃないか」
「ダウト」
 「その突っ込み方懐かしいね」
「逆に新しいでしょ」
 「そこまで古くない、と信じたいね、乙女としては」
「ダウト」
 「どこが」
「乙女」
 「はいはい、悪うござんした、乙女って年齢じゃないですよー
  あのさ、最後英語なのはなんで?」
「英語なのは、世界のどこでもない話にしたかったから」
 「How you doing?」
「How you doing.」
 「英語圏だけだよね」
「世界共通語になってしまっているんだよ」
 「うわ、後付くさい」
「ついでに言うと、僕も君も、結局、一人なんだからね」
 「それを言っちゃ、お終いでしょ」


自由詩 How you doing!? Copyright クローバー 2015-07-07 22:31:44
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