ドラゴンフルーツは考える
ブルース瀬戸内

私はドラゴンフルーツと呼ばれて
なんとかこの世に生きてはいるが
私の生涯とはなんなのだろうかと
はたと考えることだって実はある。

もちろん私はまだまだ生きるから
真の意味は分からないのだろうが
昔の事に思いを馳せることもある。
様々なフルーツと出会ってきたが
今になって冷静に考えてみるなら
どれも貴重な出会いなのは確かだ。

グアバには厳しく指導をされたが
温州みかんは陰で支えてくれたし
マンゴスチンは悩みを聞いてくれ
スターフルーツは共に頑張ろうと
自暴自棄になった私を慰めてくれ
西洋なしはコンパに誘ってくれた。

すべてが上手くいってはいないが
すべてに失敗したわけでもないし
運命に翻弄されたことはあったが
運命を翻弄してやったこともある。

私はドラゴンフルーツなんだぞと
高らかに誇る自信はないけれども
ドラゴンフルーツを見下す奴らを
私は何があっても許すことはない。
自衛せぬ者は人を守れないだろう。

そういって強がってみたところで
時の流れの速さに大きく嘆いたり
巻き戻せないものを巻き戻そうと
みっともないほど若いフリをして
しょうもないほど賢いフリをして
何かになろうと画策したりもする。

でも私はドラゴンフルーツだった。
これから先もドラゴンフルーツだ。
只今だってドラゴン丸出しなのだ。

こんなことをまた考えてみたいし
まだまだ生きようとは思っている。
たまには皆にお礼も言ってみたい。


自由詩 ドラゴンフルーツは考える Copyright ブルース瀬戸内 2015-06-24 21:05:30
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