海月通信
梅昆布茶
わたしは海の月
波間を漂うお月様の影です
仲間があなた達を刺すこともありますが
JAWSほどの脅威でもないので許してやってください
ときどきあなたがたの住む都市という
人工世界を遠望することもあります
明るい世界も嫌いではないのです
人間にも会ったことがあります
なんだか流木のようにごつごつして
わたしたち浮遊する動物には
遠い存在なのかもしれません
発光するおびただしい海蛍のように
眩しく夜を彩る色彩が文明とかいうものなのでしょうね
あまり変化がないようにみえて
はげしく生成し消滅する生命の海に浮かんでいます
新しい発見は少ないのかも知れません
でもちいさな素敵な発見も数々あるのものです
ただたのしいけれどそれが
いつまで続くのかはわからないのです
わたしたちには死という観念がありません
もともと自我という考え方と馴染まない茫漠とした海月という生命なのですから
たぶんあなた達以外の生き物達は自分が死ぬなんてしりません
あるいはそのほうが健全な生命観なのでしょう
学校なんてもともとないのです
ゆえに直接生きることから学ぶしかないのです
鯨というおおきなさかなの言葉も少し覚えました
知合いの駱駝からメールがありまして
今度の統一地方選挙に出馬するとのこと
ラクダが出馬するとは普通は言わないでしょうね
一般的には
駱駝はアラビアのロレンスの映画の中あるいは御宿海岸の
銅像とか動物園にしかいないのですから
でもがんばってくれたまえ駱駝くん
万が一当選してもそのあとがたいせつなのですからね
やはり議員バッジがなければねなんて言わないで
それでしか手段がないなら手に入れればいいんだ
僕はと言えば浮遊する海月のままで生きるだろう
時間と歴史
感情と愛情
文化と文明
知性と芸術
産業と経済
あなたたちはちかくて遠い世界観の中で生きる
僕は茫洋とした海の摂理に生きる
それでいいのだと思うのです
命あるあいだにまたお便り差し上げましょうね
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自由詩
海月通信
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梅昆布茶
2015-06-05 02:55:28