コロポックル
鵜飼千代子

そうだったよね
くねっとすること

ぺとっとして もぞもぞして
変な感じがそのうち分からなくなる

それって変態じゃない?
とわたしが言うと

とてもすまなそうな顔をしながら
胸に顔を埋めた

とにかく青空の下が好きで
変な人に見られたら強姦されますよ
というのに、
それすら憧れているのか
人に見られるということへの
警戒心も羞恥心もない
むしろ見せびらかしたい

そのくせ、
近所の寿司屋を開拓しに行くと
「お忍びでもいいですね」なんて言うけど
有名俳優や有名作家じゃないので
「誰も知りませんからお忍びも何もありません。」
とわたしは言って、
ちんまりとした沈黙に憩う

街の人が
詩人の名前や顔を見てわかるのって
よっぽど詩や文学と親しい人なのではないでしょうか
わからなくて普通

であるのなら、
本人もわかっているのなら
子供とするように
ごっこ遊びをしてあげるべきだったのか

普通の書店では売っていないって
大型書店限定販売書籍とアダルトショップ限定販売書籍と
マニアック度はどう違うの?

どちらも普通の生活者は出会わずに一生を終える書籍だから

芸術家の支援者も今はなかなか見つからない
支援者がいない表現者は、
タレントほどに人目につかない

それならそれで書いておけが
わたしのスタンス

何をするにでも自分の持ち出しで
団体の理事をしても時間とお金の持ち出しで
そういうことが出来る人が選ばれて
みんなの為に尽力をしているのですが

詩で食べていくことが出来ない
そのことに
詩人は悲しまなくていい

詩をお金にかえることは
こちらがしようとしてどうなるというものではないこと
どこかのプロデューサーに拾われたらめっけもの
気分で、

もぞもぞ書いているのがいいのかな


お金にしたいのなら
芸人でも、シンガーソングライターでも
もっと近い道があるし
その道への努力をした方がいいように思う

それでもまったく詩が好きで他のこと考えられませんって
わたしみたいな人は
あちこちの色々に勉強させていただきながら出向き
短い人生楽しみましょう。

みんな死ぬから
それが普通で
平等なんです。



自由詩 コロポックル Copyright 鵜飼千代子 2015-05-29 03:46:31
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