修羅
そらの珊瑚

たった三日でもわたしをあなたのテーブルに飾ってくれてありがとう
消毒臭くて清潔な水は、もちろん雨よりも美味しくはなかったけれど
あのまま樹にいたとしてもどのみち無残に滅びていく事にかわりない

人の手によって作り替えられたわたしは
いびつという意味において
どこか人じみている
あなたが薔薇で
わたしが人で
時空が交差したら
そんな選択もありえたかもしれないわ
たどりつく終焉で無に還ることは一緒にしても

こんなことなら昨日のうちに
捨てておけば良かったと
わたしの分身たちが散らばるテーブルで
あなたは眉をひそめた
 もうたくさん!
 美しくないものは
自慢だったティーローズの香りさえもう消え失せた
老いたわたしに顔を寄せて
美しくない人が棘で引っかくようになじるけれど
憐れみなんかよりよほどいい

さいごの朝
窓の外から声がして
いのちは刹那

まるで鳥じみた神様の声、みたい



自由詩 修羅 Copyright そらの珊瑚 2015-05-20 11:05:51
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