桜の散り染める夜に
梅昆布茶

遥か雑踏を離れて
孤では在りえない存在を確認する

収拾のつかない順序をゆっくりと整理する
いきることは水底をしらない漣

序連で奏でられていた通奏低音は
変化しまどろみ羽化すべき朝を
想いついたように
手帳に書き込むのだ

たとえばサルトルが実存とはなじまない
華やかなパリでの生活を送っていたこと

特攻で散華した若過ぎる飛行士の
最期のことばを聴き続けた帝国海軍の無線技師

いつもの夜の交差点で
またかとおもうほど抱き合って
キスをかわす熱い男女

2日で完売する
新宿小田急百貨店の福袋
誰も来ないままで夜のバスは出発する
目的地はあなたあるいは僕が書き込んだ
そんな曖昧な乗り物だ

夜のバスはゆく
観光地もすどおりしてあなたと僕の故郷へ

終連は蓮の華の咲く泥濘の沼地
どこからともなく灯っている光はたぶん命

感受性のげんかいを超えて
あなたと僕が生きれるとしたら

それはとてもたいせつなことなので
詩にしてほしいかとも想うのです







自由詩 桜の散り染める夜に Copyright 梅昆布茶 2015-05-15 02:46:27
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