あ い
大覚アキラ

「あ」と
「い」の間に
それが存在すると仮定して
そこにきみの姿を描いてみる

知らないから知りたくなる
知ってしまうと見たくなる
見てしまうと触れたくなる
触れてしまうと手に入れたくなる
手に入れてしまうとわからなくなる
わからないから答えが欲しくなる

「あ」からはじまって
「い」で終わる
瞬きよりも短く
一生よりも長い瞬間

答えがわからないと不安になる
不安になるから立ちすくむ
立ちすくんで目を閉じる
目を閉じるから見えなくなる
見えないから怖くなる
怖くなってきみにしがみつく

「あ」と
「い」の間に
たぶんそれは存在しない
答えはどこにもない

だから
「あ」からはじまって
「い」で終わる
この瞬間に身を委ねて
あいまいなままで
きみの体温を感じていたい


自由詩 あ い Copyright 大覚アキラ 2015-05-07 20:00:58
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