guruguru
亜樹


 日本語は罵倒語の少ない言語、だというが
 今も私の内をぐるぐると
 巡り巡って血肉となった
 汚い、汚い、言葉の数を
 数えてみたならそんなこと
 きっと言えぬに違いない。

 生まれついての不器量に
 せめて優しい人間に
 なりたいと思ってつぐんだ言葉が
 今となっては私の手。
 カタカタと音を立てたたくキーボードの
 よどみない旋律が
 爪の先まで満ちた悪意を
 手渡す相手を探しています。

 自らを『レイチョウルイ』だなんて
 大層な名前を付けた、その理由を
 探し出すことがこんなに難しい。
 それならいっそなんにもかもを投げ出して
 ケダモノのように唸ってみたい。

 けれどもあまりに短い爪、
 貧弱な牙
 ぐるぐるがるぐる
 なりそこないの咆哮


 


自由詩 guruguru Copyright 亜樹 2015-04-27 19:48:34
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