2015鑑賞映画採点及びひとことふたこと⑧〈4/5〜4/22〉
平瀬たかのり

?作品力=5点 ?余韻力=3点 ?再鑑賞魅力=2点(?には鑑賞後に歓談を誘発する力があるか、?には保存価値があるかも考慮)
総合的な印象として0.5ポイント加えるか否かを基準として+、−を付加。
(2.5点以下また7.5点以上は+、−表記はなし)

○ロビンとマリアン 5.5(+)
○デルス・ウザーラ 6.5(−)
○シャーロック・ホームズの冒険 5.5(+)
○武士の家計簿 6.5(−)
○プロジェクト・イーグル 4.5(+)
○シャイニング 6(−)
○黒の駐車場 6.5(+)
○スラムドッグ$ミリオネア 8
○昼顔 6(−)
○死者の学園祭 5.5(+)
○エル・シド 6.5(+)
○インビジブル 5(+)
○野獣死すべし〈1959版〉5(−)
○マークスの山 5.5(+)
 
 以上14編

○ロビンとマリアン 
 初老とよんでもいい年齢になったショーン・コネリーとオードリー・ヘップバーンの時代恋愛もの。ロビンというのは「ロビン・フッド」のことなのですが、やはり若き二人のロマンスを観たかった。まあ味わいはありましたが。

○デルス・ウザーラ
 「世界のクロサワ」の撮った洋画。きっと彼独特の作家性ゴリゴリ出して来てるのだろなあという先入観あったのですが、けしてそんなことはありませんでした。野人デルスの逞しくも悲しき生きざま。中学生とかに映画の入口として観せたいような作品。

○シャーロック・ホームズの冒険
 ビリー・ワイルダーは好きな監督なのですが、これは今一つ。ネッシー出してきたりしたのは公開当時の時代に迎合してたのかも。

○武士の家計簿
 森田芳光監督作品はこれまであまり自身の性に合わない感があって、独特のインテリ感を感じちゃうというか。でもまあこれは嫌みのない現代の邦画でした。
 ただおばあちゃんになった仲間由紀恵の顔、ツルツルすぎだろう。あんなむき卵みたいな顔したお年寄りいてたら怖いぞ。

○プロジェクト・イーグル
 ジャッキー・チェン主演、「サンダーアーム/龍兄虎弟」の続編。
 あれ、どんなストーリーだったっけ(笑)。でもそれでいいんですよ、ジャッキーのやつはね。

○シャイニング
 十年以上前に一度観てます。キューブリックの才能には改めて驚いているのですが、この作品はボクとしてはあまり評価高くないのです。ちょっと自身の映像センスとイカレっぷりに酔ってお話そのものがグダってるように思えてならない。

○黒の駐車場
 田宮二郎という俳優は、軽妙、中庸、重厚、その全てを見事に演じられるまさに名優であったと、作品を鑑賞するたびに思うのです。でもよほどの映画好きでもなければ、お若い方はその名も知らない人がほとんどとなっているかもしれない。それが本当に惜しく悔しい。
 「黒の超特急」と同じく、彼の実際の伴侶となる藤由紀子との共演作。彼女も本当に美しい。この二人を観るだけでも価値があるといえる社会派の佳作。

○スラムドッグ$ミリオネア
 「トレインスポッティング」観てダニー・ボイル監督のブチ切れっぷりに大喝采送ったのですが、いやぁ、これもやってくれましたねぇ。どうしようもない薬漬けおバカたちのオンパレードだった「トレイン〜」と本作の共通点、それは「目線が低い」ということ。そして「現場」から逃げていないということ。そして「俗」を肯定していること。この三点って、ボクがココロ震わせられる作品の基本的な条件でもあるのです。

○昼顔
 ドヌーヴは綺麗。そのファッションも素晴らしい。上品なスケベさにもゾクゾクする。名画であることは疑いようがない。だけども、イマイチ響いてこなかったのはなぜかなあ。ボクにとってはオシャレすぎるのかもなあ、これ。主人公が抱くエロ妄想もやっぱりおフランス的オシャレ感満載なのよねえ。

○死者の学園祭
 赤川次郎という作家は、ボクらの世代にとってはちょっと特殊な意味を持つ存在かもしれなくて、読書に興味を持っていない中学生にも「本を読む楽しさ」を教えたとんでもない作家だと思うのです。たぶんこの原作も読んでるのじゃないかなあ。
 2000年代前半に深キョン主演で、赤川次郎原作の王道カドカワ映画が作られただけでも意味あることかもしれません。
 筒井康隆が生き生きと役者してます。そしてやはり無駄に演技が上手いな、このオッサン(笑)。

○エル・シド
 戦争スペクタクルものとしては、キューブリックの「スパルタクス」の方が上だと思う。ただ、大人数での行軍、戦闘場面はやはり圧巻。大画面で鑑賞すべき映画であることは間違いないところ。気持ちいいだろうなあ、こういう作品映画館で観ると。

○インビジブル
 暴走透明人間ストーリー。クライマックスで暴れまわるのは研究施設という閉じた空間。この設定が作品を小ぢんまりとしてしまったように思う。やっぱり透明人間は街に飛び出して暴れまくってナンボのもんでしょ。

○野獣死すべし〈1959版〉
 仲代達矢主演。これははっきり松田優作のリメイク版の方が上。59年当時の風俗も知ることができて、面白くなくもなかったんだけど。何せ優作版のラストと「リップ・ヴァン・ウィンクル」の場面が強烈すぎますからね。

○マークスの山
 全体の三分の一過ぎてもストーリーの概要が伝わってこないというのは、シナリオに問題があるのだと思う。邦画界の名優これでもかっていうくらい出してるだけに、残念。

 今回は全体的にやや低調。その中でもゼヒモノは「スラムドッグ$ミリオネア」。欲にまみれたクイズ番組を叩き台に、人間を、生きざまを、業を、スクリーンにぶちまけたダニー・ボイルに拍手、拍手。


散文(批評随筆小説等) 2015鑑賞映画採点及びひとことふたこと⑧〈4/5〜4/22〉 Copyright 平瀬たかのり 2015-04-24 23:22:53
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