テディベアと詩集とブランケット
夏美かをる
『お母さん、最初から一緒に寝てほしいの』
『あのね、お母さんは忙しいの。
後で行くから、最初は一人で寝ないとね』
今夜も娘は
テディベアを抱きしめて寝ている
その規則正しい寝息を確認して
私もゆっくり目を閉じる
言霊宿る一冊の詩集を
しっかりと
抱
(
いだ
)
きながら
そう、人のぬくもりは
暖かくて 気持ちよくて
つい身を委ねたくなるけれど
そんな心もとない存在に
あなたの安らぎを預けてはいけない
その人はあなたのために
永遠には存在してくれないのだから
心がくじけた時にはいつでも
ただそっと寄り添ってくれる
テディベアと詩集
そして自らが発する体温で
自らが温まるように
さりげなく包み込んでくれる
一枚のブランケット
それらがあれば
ぐっすりと眠れるよね
たとえいつか目の前の人が
いなくなってしまっても
しっかりと目覚めて
勢いよく伸びをするために―
一億五千万キロ先の彼方から
毎朝生まれたての光が届けられる限りは
自由詩
テディベアと詩集とブランケット
Copyright
夏美かをる
2015-02-15 12:52:09
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