コクーン
マッドビースト


 見上げる僕に吹きかけられる
 優しい糸に
 包まれて
 守られて

 なにもしてあげられないと
 あなたは言っていたけれど
 僕は眠っていたのかな
 もうこんなに
 賢くなりました

 なにもしてあげられなかったと
 あなたは言っていたけれど
 繭に包まれて僕は
 いつもあなたの笑顔をもらってたよ
 もう守ってくれなくてもいい
 こんなに
 強くなったから

 いつも見上げて
 あなたの笑顔を探していた僕が
 大きくなって
 もう抱きしめてもらえないくらい 

 雨上がりの草むらの匂いが好きで
 駆け回っては露に汚れた

 かやの葉で傷を作っては滲む血に
 泣いてたけれど
 
 なにもしてあげられなかったと
 あなたは泣いていたけれど
 ときどき見せるあなたの笑顔が
 僕に力をくれました
 大丈夫
 僕はもうこんなに強くなったから

 だいじょうぶ
 だいじょうぶ
 もう泣かないで
 僕が守ってあげるから



自由詩 コクーン Copyright マッドビースト 2003-11-08 02:22:35
notebook Home 戻る  過去 未来