無題
ただのみきや

いくら死人に口なしと言ったって
死んで間もない死人はそっとしておけ
代弁なんて口寄せじゃあるまいし
死んで間もない死人をパペットにするな
祭り上げるな自分たちのために
理想の英雄に仕上げるな
こき下ろすな本当のことは何も知らないのだから
もう弁明も弁解もできない相手を
一緒くたにするな問題を政治だ宗教だ正義がどうのと
ひとりの死を
誰かの家族の死を
今は涙のさかなにしていても
今は興奮して正義を叫んでいても
十年後にも泣いているのは
残された家族だけだ
手綱で抑え切れない土佐犬のような
表現の自由
犬が嫌いなんじゃない
甘やかしすぎる飼い主が嫌いなんだ



              《無題:2015年2月4日》







自由詩 無題 Copyright ただのみきや 2015-02-04 22:32:14縦
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