2015鑑賞映画採点及びひとことふたこと②(1/19〜1/30)
平瀬たかのり

 採点は(?作品力5点 ?余韻力3点 ?再鑑賞魅力2点)の10点満点にて採点。
なお今回より「総合的にみてあと0.5ポイント付加したいか引きたいかどうか」を基準として(+)(−)を加えます。

○鬼の詩 6(−)
○華麗なる一族 7.5(+)
○ノーボーイズ・ノークライ 5(−)
○キャリー 7.5(+)
○鉄道員 5(−)
○バード・オン・ワイヤー 5(+)
○レッド・クリフpart1 6.5(+)
○レッド・クリフpart2 6(+)
○月夜の傘 4.5(−)
○花の降る午後 6.5(+)
○サイタマノラッパー 7(−)
○愛のむきだし 5.5(−)
○白い家の少女 7(+)

 以上13編


○鬼の唄
 藤本義一原作。天然痘にかかったことを逆手にとり、グロテスクな顔面芸で高座に上がり続けた実在の落語家の生涯を描いた作品。芸人の業を重く深く捉えたATGの佳作。天然痘って「ミッチャ」って言ってたんだなあ。

○華麗なる一族
 山崎豊子原作の社会派大作を佐分利信、仲代達矢、田宮二郎、京マチ子・・・圧倒的重厚な演技陣で映像化。これで堪能できないわけがない。ラスト、虐げられてきた本妻が我が物顔でふるまっていた妾に言い放つ一言には鳥肌がたった。

○ノーボーイズ・ノークライ
 どうして最近の邦画はこうも「尻切れトンボ」なものが多いのか。余韻を残す、と中途半端で終わらせてるっていう違いが分かってないんじゃないのか。「アジアの純真」のデュエット場面はよかったです。

○キャリー
 映画史上に残る恐怖映画であると同時に一級のアメリカ青春映画でもあると思います。
 クライマックス「いけーキャリー! ぶち殺したれぇ!」って思っちゃうんだよなあ。でもやっぱり悲しく切ない。陰気なキャリーがどんどん美しくなってく様もみどころ。シシー・スペイセク、おみごと。

○鉄道員
 名画であることに疑いの余地はないが、正直今のボクにはあまり響くものがなかったんだよなあ。いや、名画だとは分かってるんですよ。これは評価できないボクに問題があるのかもしんない。

○バード・オン・ワイヤー
 「ブロンド美女」の代名詞はボクの中で『チャーリーズ・エンジェル』のファラ・フォーセット一択だったのですが(笑)本作鑑賞によりゴールディ・ホーンも追加させていただきます。作品は男女バディもののアクションエンターテインメントものとして楽しめる仕上がり。

○レッド・クリフpart1・part2
 戦闘の場面は前篇の地上戦の方が迫力、臨場感ともにあったように思う。これは後篇の水上戦に、前篇のような俯瞰の映像がなかったからだと思う。だから勝ち負けの様子がイマイチ伝わってこなかったんですよねえ。夜の場面だから仕方ないんだけど。
 まあでも男心をくすぐる血沸き肉踊る作品になっています。
 
○月夜の傘
  戦後日本の少年時代、東京に田舎が残っていたころのお話。実際この時代に子供時代をすごした人が観たらすごい感慨深いものがあるんだろうなあ。「おけいこ事は六つのときの六月六日に始めるのがいい」んだって! へーえ!

○花の降る午後
 「バブル時代に作られたダメな方のカドカワ映画かも・・・」とおそるおそる観たのだけど、いやいや面白かった! さすが大森一樹監督。恋愛ありサスペンスありアクションあり人情の機微あり。ピシッとお話も終わらせてくれていて納得満足。ケレン味もたっぷりで、やっぱりカドカワ映画はこうでなくっちゃ!

○サイタマノラッパー
 正直ヒップホップは苦手なんだけど、この作品のダサい「埼玉のラッパー」には観てる間中寄りそえるわけです。そこが『桐島、部活やめるってよ』との圧倒的な差。市の公務員、お偉いさんを前にしてのパフォーマンス、その後の質疑応答の場面なんて「ひー、これ何の罰ゲームやねん! もうやめたってくれぇ〜っ!」って辛くなりますもん。
 そしてヒロインのみひろ。うまい。たぶん堀北真紀なんかの百倍うまい。AV女優? それがどうした。鑑賞者にとって女優の意味は「その作品の中でどれだけ輝いてみえるか、伝わってくるか」だ。この作品のみひろ、ビンビンきたわ。

○愛のむきだし
 この作品については後日改めて書きたいと思います。
 評価の詳細については(?作品力3 ?余韻力2 ?再鑑賞魅力0.5=5.5)ということになります。
 感想を一言であまりに乱暴に述べるなら・・・「ものすごくきれいで丁寧に行われたカエルの解剖を見たような感じ」とでもいいましょうか。

○白い家の少女
 白い家に一人で暮らす少女をめぐるサスペンスドラマ。主人公を演じるのが少女時代のジョディ・フォスター。とにかく彼女が綺麗。ちょっと心臓撃ち抜かれてしまった。とにかく画面の中の彼女から目がずっと離せないんです。上手だしねえ。中学時代にこの作品観てたらどうだったろう。勢いでムチャクチャな英語のファンレターとかジョディに出してた可能性あるぞ(笑)
 作品ももちろんおもしろい。秀逸なシナリオに美少女が主人公(しかも彼女は今や大女優)。けして大作じゃないけどもっと知られていい作品だと思ったなあ。

 今回は「キャリー」のシシー・スペイセク、「白い家の少女」のジョディ・フォスターにつきますね。70年代洋画の底力、女優の凄さを見せつけられました。


散文(批評随筆小説等) 2015鑑賞映画採点及びひとことふたこと②(1/19〜1/30) Copyright 平瀬たかのり 2015-01-30 19:32:31
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