恵女羅流怒・洋子
平瀬たかのり

 洋子は旅立った
 蛍光グリーン一色ビシギメ
 聖子ちゃんカット逆風になびかせ
 ラメの瞼で睨みをきかせば
 誰もが慄き道を開ける
 (くそ親父のラジカセくそ重いし)

 ハラジュクにたどりついても
 ホコ天はもうなくなってしまったし
 竹の子族なんて昭和大衆史の徒花
 思い出す人すらいない
 今や孫のお守りに忙しい彼、彼女たち
 (うっせえ 関係ねぇよ 出番だくそ親父)
 
 スイッチ押せば擦り切れかけのカセットテープから
 アラベスク ヴィレッジ・ピープル ジンギスカン
 ジン ジン ジンギスカン!
 さあStep Stepping now洋子!

 そうとも人は抱えきれない思いを抱いた時
 太古から踊ることに決まってる
 そうだ太陽を拳で撃ち抜け
 いいぞ大地を踵で蹴り上げろ
 マブイぜ洋子ハクいぜ洋子いかしてるぜ

 アバヨ、変態くそ親父
 わたしはこのまま旅を続ける
 日が暮れて、星
 降ってくる星
 洋子を照らす
 洋子のダンスステップを照らす
 零れる涙、振り切る涙、千切る涙
 エメラルドに変わって
 闇に煌めき飛び散って
 幾々粒も煌めいて
 (やだわたしこんなことできるんだやっぱりお父さんの娘なんだねわたしっ
   てば)

 踊れ洋子、時をこえて
 今夜ひとりぼっちの
 トーキョー・アラビアン・ナイト
 
        (『恵女羅流怒』=実在した「竹の子族」チームのひとつ)


自由詩 恵女羅流怒・洋子 Copyright 平瀬たかのり 2015-01-22 14:37:17
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お父さんと洋子ちゃん