かりん Ⅱ
ただのみきや

垣根越しに
老女の艶やかな手
切ないほど甘い
いびつな頭をもぎとって
埋められた犬のため
息を光に押し出した
枯れた莢を揺らすように


踏むと何処かで誰かが死ぬ
枯葉の音に冷たく欹て
歩く家々に売るものは
甘い口約束だけ
香りながら腐って往く
ひとつのいびつな
不実の陰影


胡桃を割る鴉の瞳が
不意に見やる
逆光に顏を落された男
乳房に沈むように
秋風も拭えない
匂いに時を踏み迷う
黒鍵が目隠しを始める




       《かりん ?:2014年11月11日》






自由詩 かりん Ⅱ Copyright ただのみきや 2014-11-12 22:14:39縦
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