うたた寝 うらら
千月 話子

午後に揺れる はちみつ色の池が
   とろり とろり
  眠くて仕方ありません

医学的にホルモン・バランス
春の陽気を否めませんのよ




かすんだ景色を走るの 普通電車が
 かげろうに溶けゆく線路を
   こととん こととん
 まばらに人が浮いているのよ
そこは ここんとこ 無重力ですか?




電話のベルが鳴ってます
   ぺこん ぽこん
    びーどろの笛
  ガラス細工の溶ける音
  気が済むまで気付かずに
 放っておいてくださいましね

 ゆるく手に持ったペン先が
なめらかに 動き回って廻って
   くね くねね
    無意識の芸術家
来月 個展を 開きますので。




パスタ・ランチは消化にいいのよ
トマトソースが腹ペコの
情熱の太陽を連れてくるから

はしばみ色の瞳のあなたが
ぼんやりしたテレビの中で言っていたのよ
ほんとうでも うそでも
もう どうでもいいの
大あくびした目に溢れそうな
   やわらかい涙が
食べかけの少し甘い玉子焼きの上に
   落ちそうで 
なんとなく なんとはなく
桜色の風が  ふぃっと吹いてね
いい具合に足先が温まったら
   うつら うつら

  何もかも 忘れて
   ふわ ふわり
 眠ってしまいたいのよ
 
フィットした 羽まくらです
 
もう 雲に落ちても いいかしら?




自由詩 うたた寝 うらら Copyright 千月 話子 2005-01-30 16:27:26
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