まえぶれ
そらの珊瑚

秋風のなかに
ほんのわずかに残された
夏の粒子が
午過ぎには
この洗濯物を乾かすだろう

通夜、葬儀の放送が
朝のスピーカーから流れて
犬が遠吠えを繰り返す

香典の額を算段して
遅い朝食を摂る

いつもはどこかに置いたままにしてある
自分の死というものを引き寄せる
だれも身がわることのできない
平凡な死というものについて
引き寄せたあとを
さざ波がひろがる みなも

熱いコーヒーのなかに
ほんのわずかに残された
果実の記憶を飲み干せば

台風が近いという
遠くで風、うなっている



自由詩 まえぶれ Copyright そらの珊瑚 2014-10-04 11:14:54縦
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