水槽
鵜飼千代子



自由にのびのびと泳がせてくれる人と
長続きするのだなと今さら知る

海水魚を飼っていた時
気遣って水槽掃除をしてくれた夫が
水温センサーを水に戻さなかったので
海水魚たちはみんな煮えました。

シマリスを飼って、
少しでも自然の環境に近くと思い、
水槽に土と枯草を入れて自由にさせていました。

東日本大震災の数日前、
知っていたかのようにレモンちゃんは死にました。

インコの巣箱を2つ縦に添えたゲージの巣箱ではなく、
トンネルで繋げた水槽の片隅で。

大雪が降った日の後でした。
電気代が無駄だと、エアコンを切られていました。

「触らないほうがいいよ」
ってなに?

硬くなってティッシュや枯草の中に埋もれている
レモンちゃんに、あなたは何を感じるのか。

放し飼いにした時に、
あちこち貯めた木の実が
今さら見つかるのが切ない。

愛玩動物ではない子供を
同じように殺してしまうのではないかと
怯えながら暮らしています。

夫は「普通」の人なので
わたしが飼っている動物は別なのかもしれませんが。

実家で、飼っていたわんちゃんにはとても面倒見が良かったのに、なつかない小動物は、どうしていいのかわからないのかも知れない。

そんな観察をしながら、
わたしは水槽の中でのびのびと泳ぐのが
幸せなのかなと気付いたのです。


携帯写真+詩 水槽 Copyright 鵜飼千代子 2014-09-17 00:30:02
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