20歳になった俺の独白
虹村 凌

もうこっちの時間でも金曜日。20歳になった訳だ。
へー。
あぁ、ティーン卒業だ。いや別に何て事無いわ。

そりゃそうだ。20歳になったら死ぬ訳でも無いし。(そんなドラマあったろ
そしてスタンド能力が発動する訳でも無く。
まして発芽する訳でもない。光合成は十分足りている。
何も変わらずに時間は過ぎてゆくのだよ。
煙草は燃えてゆくし、鼻毛は伸びてゆく。
節目に何かを求めるなんて愚の骨頂だね。そうは思わんかね?
なァー?そう思うだろハナクソー!

とりあえず、昨日、寝しなに思ったんだが。
そろそろ、真剣に将来を考えてみようかと思う。
30歳で死ぬ予定だったが、それも面倒だ。
っつかつまらん気がしてきた。
汚いジジィ…もとい、老人臭ぷんぷんの翁にはなりたかねぇ。
そうなる前には墓場で運動会してたい。
別に30じゃなくていいや。そう思った。

死ぬ事を考えるのは、生き延びてからにしようと思った。
とりあえず、今親にしてる借金返そうと思う。
続くかわかんねぇけど、これは意地。
金が無い金が無いって言ってる親父に対する、俺の意地。
張らない意地は意地の持ち腐れだ。
なので意地もハッタリも張れるだけ張る。
んでコケたら謝る。間違えに気付いたら謝る。
どうなるかわかんねぇけど、とりあえずやってみようと思う。

今日明日、喰う飯に困るような状況じゃない。
親の金で飛行機乗っかって、大学行ってるからだ。
んで卒業したら、一切仕送り無し。
どうなっかわかんねぇけど、まぁなるようになる。
いや、これじゃ成らないね。なるように、俺がする。
生きて糞放りだして、精子出して鼻クソほじくって喰ってるだけの、
そんな生活だったらバイトしてりゃどうにかなる。

だが、そんなモノは望んでいない。
金があろうがなかろうが、俺が俺を感じ、何かを創れる環境でいたい。
それを俺が創れるかどうかなのですよ、これからわ。
未来のビジョンなんて見えちゃいねぇ。
可能性があるとか無いとかじゃない。見えてないんだよ。
誤魔化しゃしねぇ。見えてないし見ていない。
未来の為の準備なんてクソ食らえだ。
俺には明日の朝8時半からの授業が大事なんである。
そこで寝る事が大事なんである。
そっから始まる。些細な事も馬鹿にしない。

一人で出した精子も馬鹿にしない。
奴等を無駄死にさせやしねぇ。
てめぇらの分も生きる。
そう思って、生き延びる事を考えよう。


詩に頼って生きる事も考えない。
俺には前進しか無い。
詩の中では、いかに停滞するかが問題だが。
現実じゃ停滞は趣味じゃない。そんな暇無い。
前進しか無い。

宝の地図を持った若者が夢を諦めるのは、
その拳を下げた時だけ。
俺が道を空けるのは、
その道にでっけぇウンコが落ちてる時だけ。

俺は俺が正しい事を知っている。
だから、俺は俺を信じ、愛して進んでゆく。
間違ってたら、俺の親愛なる野郎共が教えてくれる。
だから俺は、知らないウチに遠くまでゆける。
俺の方向は正しい。
スタイルなんか確率できちゃいねぇ。
けれど、俺は俺が正しい事を知っている。


そんな事を考えながら
いつかは
どっかで待ってるヤツ(女であれ男であれ)を見つけて
何となくジジィになる前に
人を愛する事を、もう一度知ろうと思う。



未詩・独白 20歳になった俺の独白 Copyright 虹村 凌 2005-01-28 14:52:24
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