湖面
梅昆布茶
存在という湖面に感情の漣がたつ
嫉妬や猜疑や後悔
期待と不安の入り交じった舟を浮かべて生きて行く
執着というホームに立ち
何処かへとむかう列車を待つ
想いを伝えきれない哀しみ
限りなく沈んで行く小石のように感じたならば
石であることをやめてみる
過去と未来の交点で信号を待つ
青に変わった筈なのにすすめない街角で
だれかのクラクション
ニールヤングのhelplessをくちずさむ
解答のない路線バスに乗る
半島を海岸線沿いに走るボンネットバス
沖をピースマークを掲げた船がとおりすぎてゆく
解凍された記憶をたどる
研ぎすまされた刃あるいは温もり
存在という仮面を脱ぎ捨てて
感覚という細胞になる
キュートな彼女とむかし家庭をもった
子供達も散りじりに去って行った彼女も
いまはひとり存在と隣り合わせな
9時55分発のボンネットバスを待つ