“5時からサイクリング”で夜になった
Giton

『歎異抄』第9条
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月が出れば岸辺は雪景色 いや霜か いや鹹湖の塩か
流沙八百里 蜃気楼のように水面が光る といっても
むかしからそういうことになっているのだから
しかたがない

 ‥キイコキイコ

親鸞は極楽浄土になど行きたくないと言ったそうだ*1
いまごろはさぞ退屈していることだろう
そこで阿弥陀の雲に乗るのを拒否した香久夜姫は
流沙の岸辺に追放されただろうか

 ‥キイコキイコ

月はまだ出ない いや今夜はずっと出ないだろうから
さらにさらに先を求めて膝が壊れても漕ぎつづける
月が出なけりゃ忠治も見栄の張りようがあるまい

 ‥ギイコギイコ

香久夜姫も三蔵法師も親鸞上人も
見渡すばかりのごろたに囲まれて頬づえをついている
世界の果てにいるきみたちを心から祝福しよう!
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*1 『歎異抄』第9条



自由詩 “5時からサイクリング”で夜になった Copyright Giton 2014-09-12 21:28:21
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