いちじく
そらの珊瑚

いちじくがなりすぎて
おしうりされて
いやになる きみの
ことがだいきらいなわけではないけど
だいすきなわけでもない
いっそきらわれたほうがましとでもいうように
そのみはすこしわれていて
そのなかにあるのが花なんだよと
だれかのうんちくをきくはめになった

しぶしぶたべてみれば
熱帯植物系のねっとりさが
わたしの口をだめにして
またれいぞうこにしまう

きのうスーパーで
いちじくのパックをかごにいれた
みずしらずのたぶん女の人に
 「もしよかったら、うちのむのうやくというか
  ほっておいたらできてしまったいちじくたちをたべてくださいませんか
  いまならほどよくひえてます」
といいたくてうずうずした
おそらくいちじくをあいしているだろう
もしくはかぞくのだれかがあいしているのだろう
そろそろいちじくのきせつじゃのうか? と
きたいでむねをふくらませているおじいちゃんとか
そのたぶん女の人の(そのひとのしゅうへんにまつわるひともふくめて)
こうごうしいまでのせなかを
そんなおもいをこめて
つまり
熱帯植物系のしせんをおくりながら
あとをつけてみたのだが
ぜんぜんだめだった


自由詩 いちじく Copyright そらの珊瑚 2014-09-08 16:17:29縦
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