わたしの三〇三号室
かの

わたしのさんまるさん号室
うさぎみたいなマットレス
とろりとしたクリームのシーツ
海底行きのソファ
銀のシンク
手足の伸びきる大理石のお風呂
では、ないんだよなあ

必要なものだけのさんまるさん
ふとんとたなと折りたたみ机
エアコン、レンジ 洗濯機はない
コンビニまで約一分
スーパーまで約二分
ステーションまで約三分
角の北側わたしのさんまるさん

バスタブの上の洗面台
毎朝顔を洗って
ひとりごと
たまにくるあなたと
ふたりごと
隣の人のお客さんと
さんにんごと
では、ないのかなあ
簡単に響くさんまるさん

学校からは三〇分
新宿からは二〇分
何にもない日の一日中
思考、思想、夢想、絶望
わたしの世界はさんまるさん
小人用の冷蔵庫
さんまるさん製冷麦茶
空になったら
空になったらお出かけだ

一階のポスト
二通の郵便
三〇三のわたし宛て
(手紙でもあればいいのになあ
 でもまずわたしが送らんと
 手紙なんて来んよなあ)
わたしの世界はさんまるさん
実家からの着信音
簡単に響くさんまるさん


自由詩 わたしの三〇三号室 Copyright かの 2014-09-07 23:23:13
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