ここにいてもいい
クローバー

ここにいてもいい
なんて言葉は卑怯
選択を奪え
ここにいていい
と言葉にしろ
も、がいらない
そんなやさしい主導権はいらない
ここにいなくてもいい
も、も、も
もももももも
もももももももももももももももももももももももも
真っ暗な深海に
マリンスノーが降り積もる
も、の形した
プランクトンの死骸が積もる
ここにいてもいい

ここにいなくてもいい
とは、矛盾しない
光は届かないでも
君がいるからそれでいい

なんてことを書いて
照れくさくなって一度消す
また水に沈んで水面ばかり見上げている自分を見つける
ここにいてもいい
この間は宇宙の端っこに椅子を置いてきたばかり
土星の輪をサイクリングする、も、を眺めながら
ここにいてもいい
ここにいてもいい
自問する、こことは何処ですか
一週間は速い
できることの量は変わっていないのに
意識を認識する機関が劣化している
最適化、ともいう
ここにいると意識するために使われるコマ数が減っている
ここにいてもいい
ここにいると信じています
夢でも仮想現実でも、それでも自分を失うことはできない

ここまで書いて一度消す
ここにいてもいい

ここにいることが
居心地が悪くなって消す
どこへでも飛び立っていいよ
と、開け放たれた鳥かごの扉に気づかない
そんな自分に
ここにいてもいい、と言う
場所と時間と次元も入れて
こんなにも広すぎる
ただ一点で固定する
ここにいてもいい
こことは何ですか
ここにいなくてもいい
そのほうがずっとやさしい。


自由詩 ここにいてもいい Copyright クローバー 2014-09-01 23:11:42
notebook Home 戻る  過去 未来