タイトスカートイニシアチブ
馬野ミキ

刑務所に入りたい
死刑になりたいというのは
まだ、社会と関わりたいという意志があるということである

この地上で
例えどんなに孤独であったとしても
誰かと関わりたいという欲求は
かけがえのない想いであるとおもう

現実の女性よりもアニメの女性がいいという人たちもいる
けれどもやっぱり
彼らはカマキリではなく
紫陽花でも二酸化炭素でもなく
所詮、女性を求めているのだ
女性を求めているという意味で
リア充とオタクには共通点がある
まあ大きな範疇でみれば似たもの同士だ


タイトスカートのしわが伸びることはしびれる
スーツのルーツは軍服だそうである
サラリーマンは現代の軍隊かも知れないな
山手線のホームを行進する

タイトスカートのなかに
窮屈そうに肉体がしまわれていることに興奮する
綿が
ポリエステルが伸びる
ビッグバンが拡大を目指すように
生地は丸みを帯び
今にも爆発しそうだ

そんなタイトスカートの女性を追いかけたことがある
都庁方面へと抜けるガードを尾行した
なんて素晴らしい尻なんだろう
ハイヒールサラウンドが辺りに響いていた
ガードを出る頃彼女は俺のほうへ振り返った
危険を感じたのかしら
なんと彼女は厚化粧のおかまであった
俺はホラー映画か悪夢でも見ている気分になった
そして犯罪を犯さないで助かったなととも思った

俺はUターンし新宿駅に向かった
職務質問され署で悪態をついた
パトカーで漫画喫茶の近くまで送ってもらった
俺は興奮していたし瞳孔が開いていた
パトカーから降りた時、中国人の女性が二人「あなたはVIPな人ですか?」と近づいてきた
少し遠くで中国人の男たちが見守っていた。


自由詩 タイトスカートイニシアチブ Copyright 馬野ミキ 2014-09-01 13:28:51
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