朝の雨は
Giton

あまあしは まっすぐにおちる
あまあしは ななめにおちる
あまあしは 屋根におちる 路におちる 黒い蝙蝠におちる
きみにおちる ぼくにおちる きみの髪の毛をぬらし 脚をぬらし ぼくのかたとうでとをぬらす
まっすぐのあまあしがビルのうえにおちる やまにおちる 川面かわもにおちて 水はざわめく

ななめのあまあしはずっとななめにふりつづき
清楚な直線をひきつづけ すべては静止し 決してなにごとも起きないかのよう
あめがふっていた旧い旧い世界 あめがふるだけでなにも起きなかった始原はじめの世界
雨だけがふりつづく懐かしい世界 何も起きない 何も生じない 神は眠りから覚めることがない

誰も目覚めることがない雨の底 生きるとか死ぬとか
どちらでもいいね
そろそろ朝餉のしたくをしようか


自由詩 朝の雨は Copyright Giton 2014-08-28 06:23:57
notebook Home 戻る  過去 未来