沸騰点
ただのみきや

破水した光の枝垂しなだ
終わらない夏の囚われ
わたしは煮え立つ釜のよう
せめぎ合いの果てに溢れ出す

      
しろくのけぞる
      朝顔のうなじ 
      ひとしずくのとが
藍あおく隠匿し
石のようにそばだてながら巻かれめく
      理性とは消失した指先の感触か

      
歓喜に震える
      蜜蜂の純愛
溺れるように泳ぎ 
      あぐねては
掻き抱く夢の花粉
      狂おしい黄金
舞いかける焦点の先
      死の被膜の向こう
      あるいはそんな遊戯

遡上する鎧魚の顏 
記憶と記憶が交配する夜明け前
正気のサイレンが血を巡り渡る
その前に
何度でも
柘榴のように搾り終えるまで



      
       《沸騰点:2014年8月23日》









自由詩 沸騰点 Copyright ただのみきや 2014-08-27 23:25:43縦
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