昨日のかぼちゃ
あおば

             140825
かぼちゃがへんなになっちゃった
丸くなった父が寝言を言う
雨が降り続き天候不順だから育つ前に腐ってしまったのだろう
よくあることといえばそれまでだが
丸まった父の背にカボチャも貴重だった食糧不足の時代背景が張り付いていてどうにも剥がせなくなっている
すこしでも美味いものがたらふく食いたい子供たち
家庭菜園にも襲い掛かる無慈悲な長雨という名の天候不順
スーパーでは石焼芋が売られている
この暑さにと怪訝な面持ちで覗き込むのは私だけかもしれないが
冬にトマトやスイカは食べないという律儀なお人も居て
遣唐使を迎えた頃の長安の都には
温室があり一年中どんな野菜も供給できたと聞くと
俺の意識は古すぎるのだろうか
だとすると父はどうなのか
何度かぼちゃを植えても満足に育てたことの無い俺はなにもいう資格が無い
茹でたかぼちゃを美味いの不味いの言いながら
買いすぎたかぼちゃに責任を取らせようとしている


自由詩 昨日のかぼちゃ Copyright あおば 2014-08-25 07:51:18
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