August
itukamitaniji

August

雨が降り始める瞬間の音が 四角い部屋に飛び込んできて
隠された嘘を暴こうと 徐々に音を強めていく

僕はどこへも行けずに 頑なに窓を閉ざしたら
白紙を埋める作業に没頭する 何かに見張られてるみたいに

そこに嘘はないのかい そこに自分はあるのかって

どこかに隙間を見つけ出しては 少しずつこじ開けて
雨の向こう側から 世界が迫ってくる


雷鳴が響いた その瞬間心が驚いて体から逃げ出した
捕まえようとしても 行間をすいすい縫って離れてゆく

気づけば部屋は洪水状態 僕だけが孤立していて
心という浮力を失くして 重たい体がぶくぶく沈み始めた

追いかけるほどに 遠ざかっていく答えがあったなんて

僕の体は逆さまになって 深く深く沈んでいく
このまま落ちていくのも 悪くないかもしれないな
そんな気持ちとは裏腹に がむしゃらに腕は動いた
まだ光は見えている 僕はここだと叫びながら


もがいて
もがいて
もがいて
もがいて
もがいて
もがいて
もがいて
もがいて…

そうして僕はここにいる


自由詩 August Copyright itukamitaniji 2014-08-20 00:58:56
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