ロックン・ポエム
nonya


<ザ・ロング・アンド・ワインディング・ポエトリィ>


言葉はいつも
戸惑いながらやって来る
曲がりくねった道を通って
日常の生温い闇をすり抜けて

言葉はいつも
恥じらいながらやって来る
風の吹きすさぶ道を通って
時間の凍てついた檻をすり抜けて

唇はいつも
一番の近道を探している
想いを伝え切れたことがあっただろうか

指はいつも
見切り発車をしてしまう
詩なんて書けたことがあっただろうか





<アキレス最後から二番目の戦い>


かかとのプロテクターは
ずいぶん前からはずしてあるけれど
誰も気づかないふりをしている
僕は不死身でなければいけないらしい

凱旋のセレモニーなんて
本当はあまり好きじゃないけれど
誰にも気づかれないようにしている
僕は英雄でなければいけないらしい

誰も生きろとは言ってくれない
賞賛と祝福の檻の中で
僕は勝ち続けるしかないらしい

誰も死ぬなとは言ってくれない
感動と伝説の波の上で
僕は敗れ去るしかないらしい





<ホテル(仮)フォルニア>


幾つものペルソナを使いこなして
君のリビングルームに辿り着いた
僕は勤勉なオレンジ風味
日常を心地良くそよがせることだって出来る

パラレル・ワールドを渡り歩いて
君のベッドルームに潜り込んだ
僕は不埒な赤ワイン風味
妄想と一晩じゅう絡み合うことだって出来る

どんな夢を見続けようと仮の姿
僕は何者にもなれるけれど
この時間からは決して逃れられない

どんなに生き永らえようと仮の姿
僕は何処へでも行けるけれど
この肉体からは決して逃れられない





<ボーン・イン・ザ・USO>


すべてのウソツキは
永久の権利として基本的人権を与えられているのか
すべてのウソツキは
健康で文化的な最低限度の生活を営んでいるのか

すべてのウソツキは
人種信条性別社会的身分によって差別されないのか
すべてのウソツキは
武力による威嚇または行使を永久に放棄しているのか

嘘も方便の国に生まれた
僕はホラフキ天狗茸
シンジツの痛さなんて知るよしもない

嘘から出たまことの国に生まれた
僕はホラフキ男爵芋
ホントウの苦さなんて知るすべもない





<すごーく・オン・ザ・ウォーター>


水を向けたら恐る恐る白状した
水臭いなあ今まで黙っていたなんて
水商売の過去なんて全然気にしないよ
水色のプラトニック・ラヴを望んでいたわけじゃない

水心あれば魚心ついでに下心
水清ければ魚棲まずただじゃ済まず
水に流したふりをして引き留める
水増しした優しさの下に水浸しの未練を隠して

すごーく・オン・ザ・ウォーター
水難の相あるも
水の低きに就くが色事師

すごーく・オン・ザ・ウォーター
水子の霊見えるも
水は放蕩の器に随う





自由詩 ロックン・ポエム Copyright nonya 2014-08-12 13:06:13
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