河を渉る
たま

河の向こうにあるのは
向こう岸です
至極当然だけど、事実です
あなたは今、どちらの岸辺で詩を書いていますか
向こうですか
こちらですか
それとも、どちらだかわからないですか
一生懸命に書いているのに
あなたの詩が評価されないとしたら
それは何故ですか
河を渉っていますか
ひょっとして
あなたは目の前の河の存在に気づいていないのかもしれません
河は事実としてそこにあるのです
渉りなさい
河を渉って向こう岸で詩を書きなさい
こちらで書いてはいけません
何故かというと、こちらには読者がいないからです
さあ、河を渉りなさい
思案してはいけません
とても浅い河です
歩いて渉りなさい
あなたの足と、あなたの言葉と
そして
八月六日のあの人たちの絶望を抱きしめて
今すぐに
河を渉りなさい

















自由詩 河を渉る Copyright たま 2014-08-06 13:43:37
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