種
桶谷
ししとうはすいかに意地悪をしたい
だから襟口をまっすぐ指さしながら
お米が付いているよと言い添えてやる
すいかは自動的に俯いて
始めの釦と二つ目の釦のあたりを
つまみつつ見つめているのだが
けして見つからないのと
下唇が不細工にせり出しているので
ししとうは唇を甘噛みしながら
すいかと小さく呼んでしまう
自由詩
種
Copyright
桶谷
2014-07-29 22:39:02