トマト
馬野ミキ

窓から通りに停めているトラックの荷台に
トマトを投げる
ここらは駐車停止なんだ
このように常に自分には病識がある

通りに車を止めているトラック運転手が「何をしてるんだ!」と怒ってきたら
殺せばいい
これが犯罪者の心理だ
殺せばいいんだよ
何があったって
圧倒的な腕力さえあれば
警察官も裁判所もみな殺せばいい

犯罪者は人々の良識の闇の産物として製造されるのか
もともと救われないような絶対的な悪がこの世には存在するのか
俺には分からない
前者なら革命の見込みがある
後者なら神を殺すしかない
他人に迷惑をかけないようにしなさいと教えられてきた
だが存在しているだけで他人に迷惑をこおむる人達がいる

池袋駅東口で異臭を放つ乞食
アスペルガーのトラブルメイカー
胸の谷間を魅せつける境界性人格障害の女
沈黙の電車内で発狂する知的障害者
老人を騙す極道
身なりの美しいクレーマー
エトセトラエトセトラ・・

世界の金持ちベスト100の私生活を見ろよ
あいつらが別荘のプールに泳いでる時
その水の一滴一滴を埋めるために
世界の貧しい地域の少年少女が
死に者狂いで働いてる

そう
俺が地球という砂場で習った三つのことはこうだ

人は人を殺してもいい
人は他人に迷惑をかけてもよい
めざわりな機械自動車にはトマトを投げつけていい。



自由詩 トマト Copyright 馬野ミキ 2014-07-28 13:38:21
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