自転車置き場
馬野ミキ

窓を開けて煙草を吸っていたら
下の通りをいつものおじさんがうろつうろしていた
同じマンションの住民の年金暮らしのおじさんで
いつも暇そうでありニコニコしており誰か話し相手を探してうろついている
時々俺も捕まって長話になりそうなところを何とかきりあげる
エレベーターの中までついてくるからな
ま、悪い人じゃないが・・

煙草を吸いながらおじさんを見ていたら
自転車置場を行ったり来たりしている
俺は急に先日自転車のタイヤがパンクさせられていたことを思いだした
自転車屋でいたずらの可能性が高いと言われていた
俺は少し窓から顔をひいておじさんを見守った
辺りをきょろきょろとしているように見える
あのいつも笑顔のおじさんの闇の部分がこれから露わになるのかと思うとドキドキした
俺は煙草を消しおじさんを見つめた
やるのか!?
犯行に及ぶのか!?
するとおじさんがポケットに手を突っ込んで何か出した
ワオ!
遠くでそれが何なのかよく見えない
釘か?
それでタイヤを一刺しするのか?
俺の心臓は高鳴った
刺せ!
刺せ!
刺してしまえ!
なぜかそう思った
だがおじさんは何事もなかったようにエントランスに向かい自室に帰っていった。



自由詩 自転車置き場 Copyright 馬野ミキ 2014-07-25 14:13:49
notebook Home