生まれる
itukamitaniji

生まれる

脳みそのどこか隅の方
誰も知らない場所が刹那光った
パチっと音をたてて
吐き出された最初の光は
暗く細い神経の道を
弱々しく進みはじめた
シナプスで一休みしたら
新しいニューロンへと旅をする
それに呼応して
まるでパチパチキャンディーみたいに
至るところで音が鳴って
光が集まってくる
少しずつ加速して
たくさんのニューロンを巡ったら
脳みそを飛び出して違う場所へ
首を通って二手に別れたら
肩を渡って二の腕を過ぎ
肘を越えて手首まで
そして五つの道へと飛び込んだら
親指人差し指中指薬指小指の先へと
次から次へと光が集まってくる
そうして私の指は動き
カタカタとキーボードをタイプした
光は0と1へと変えられて
真っ白な海へ漕ぎ出してゆく

詩が生まれる


自由詩 生まれる Copyright itukamitaniji 2014-07-01 00:14:35
notebook Home 戻る  過去 未来