旧友
ただのみきや

突然窓から入って来たかと思うと
開きっぱなしの聖書を勝手にパラパラめくり
挨拶もなしに出て行った
――相変わらずだな
きっと満開のニセアカシアの間を抜けて来たのだろう
すると今頃は下の公園辺り
ベビーカーの上の小さなおでこにフーッ
カラフルな帽子を飛ばし
制服のスカートを揺らし
それに食い入る眼に砂埃をお見舞して…
――ああ まったくうらやましいやつだ


        《旧友:2014年6月8日》





自由詩 旧友 Copyright ただのみきや 2014-06-08 14:12:57
notebook Home 戻る