June
itukamitaniji

June

手紙を書いている 来る日も来る日も
一言で済む話に 二言目、三言目を無理矢理つなげて

文字で埋め尽くされ 便箋は真っ黒
子どもみたいに汚れた手で ポストに投函する

届きますようにと手を合わせても

配達されることはない 配達員は来ることはなく
行き先を失った 手紙がポストに溜まっていくだけ


もうすぐ嵐がやってくる 今はこんなに晴れて暑いのに
風の向きも変わって 夏の匂いがしはじめている

手紙を書いている 来る日も来る日も
雨の日も暑い日も ポストの前でずっと待ち続けている

でも本当は誰も来ないことを知っている

配達員は僕自身だった 誰も届けてなんてくれやしない
行き先を失った言葉は ポストに溜まっていくだけ


手紙を書いている 来る日も来る日も
溜まりに溜まった手紙が ポストの口からはみ出てる

もうすぐ嵐がやってくる びしょ濡れになるかもしれない


自由詩 June Copyright itukamitaniji 2014-06-03 23:40:23縦
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