itukamitaniji

机の上には、まだやりかけのままの仕事が散らかっている。
君のこと思い出してしまって、ついに手が止まってしまった。
君との会話を思い浮かべてた。君の口から吐き出されるのは、
僕ではない誰かへの想いで、僕をすり抜けて消えていったっけ。
笑って耐えている自分がいることに気付いた。それだけでもう、
君が好きだということを、認めるには十分すぎるのだった。
そして僕はひとりきり、さみしいうそつきになる決意をする。
君への想いを、人知れず心の中にしまいこんだなら、
卵みたいに抱えて、こっそりと温め続けていく。
いつか孵化した心で、新しく君に会いにいく為に。


卵の中から音がする。「早く出たい」と声が聴こえる。


自由詩Copyright itukamitaniji 2014-05-26 18:33:07
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