【 シッポ 】
泡沫恋歌

ジョウロを持って
庭先に立っていると
植木鉢の間から
ヒョイと小さな顔を覗かせる
私と目が合った瞬間に固まった

キミと出会うのは
今日で何回目だろうか
植木鉢の森の住人さん

太古の地球で
キミの先祖たちは
何十メートルもある巨体で
ノッシノッシと地上を歩いて
大きなシッポで草木をなぎ倒した

まさに威風堂々
地球の王者の貫録だった!

それに比べて 
私たちの先祖ときたら……
その姿を見ただけで震えあがり 
穴に隠れたり
草むらに身を潜めたりしていたもの

巨大爬虫類は
なぜ絶滅してしまったのか
本当の理由は地球だけが知っている

地球の王者の子孫たちは
今はちっちゃな空間で
ひっそりと生きている
キミの目に映る私はきっと
巨大で凶暴に見えることだろう

クルリと踵を返すと
小さなシッポが
シュルシュルと逃げていく

そんなに脅えないで
キミも私も同じ地球の仲間なんだ
仲よく共存していこうよ

   トカゲくん!


                               2014/05/25


自由詩 【 シッポ 】 Copyright 泡沫恋歌 2014-05-26 02:36:43縦
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