雪に埋れた古木のように
beebee






サラリーマンとして
骨を埋めるところを探していた
降り積もった雪の中から
首を出す古木のように
少しの隙間を残して
雪に埋まり
冷たい空気に息を継ぎながら
静かな時間と透明な空気の中で
時間をかけて肌を晒し
皺を刻み付ける


想いは尽くしたのか


風に舐られながら
遠くを見ていた
一匹のウサギが雪を掻き分け
身を摺り寄せる
優しい暖かさに身を任せ
目を瞑ると
茜色の夢が少しづつ身を浸し
意識が拡散した


想いは尽くしたのか


風が吹いている
静かな自分に吹いている
土色の緑が拡がって
白い花が帽子を上げた
見上げるとsoraが青くて
広くて
太陽をかすめる鳥がいた
じっと見ていると
水に滲んで
虹色のsoraが拡がった


想いは尽くしたのか


緑が両手を挙げた
周りじゅうが太陽に身を焼かれ
捻じれ擦り切れ
熱気に息を継いだ
体を震わせて
身に付いた埃を払うが
それはどんどん降り積って来て
口を塞ぐのだった
苦しい
苦しい想いが在って
熱気の内に面を伏せた


想いは尽くしたのか


根が拡がっていった
葉脈のようにそれは広がって
根毛は地の底の奥の奥の
暗い闇の中へ伸びていった
いつしかそれは
硬い岩盤の中の水脈に届き
新鮮な水に浸るのだった
季節は巡り時は流れ
根は長く太く伸びて
枝を分かち拡がって
混沌は輪廻するのだった


想いは尽くしたのか


擦り切れた古木のように
私は立ち尽くしている
風は問いかける





自由詩 雪に埋れた古木のように Copyright beebee 2014-05-26 01:51:10
notebook Home 戻る