狐の死
ただのみきや


小林峠の近くで
狐が轢かれて死んでいた
珍しいことではない
狐も 狸も 猫だって
だけど道路の端の方で
轢かれたばかりらしく
まだ そのままの姿で
顏だけが歪んで血まみれで
瞬間の表情を
残していて

思わず咆えた
狐になって
怒りと苦悶と悲しみを
狐の代わりに
咆えていた
理屈も意味も思想もなく
ただそうせずに
いられなかった


    《狐の死:2014年5月24日》


自由詩 狐の死 Copyright ただのみきや 2014-05-24 21:12:18縦
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